国旗が掲揚されるときは、自国・他国に関わらず国旗に対して敬意を表わしましょう。
諸外国の中には、右手のひらを左胸に当てるなどの習慣があります。日本では元々そのような習慣はなく、起立脱帽して姿勢を正し国旗に注目して敬意を表わすのが一般的とされていました。
しかし近年の国際スポーツ大会では、国旗掲揚の際に日本の選手たちが右手のひらを左胸に当てる光景が時折見られ、新しい習慣として定着しつつあるのかも知れません。
国旗の掲揚は本来、日の出から日没までとされていますが、会社や学校では始業時から終業時などの 一日の節目に掲揚・降納するのが一般的です。
国旗は国家の象徴ですので、破れたり汚れたものを使用してはいけません。
古くなった国旗を処分する時は、非公開の場で焼却するのが良いとされています。一般的に、公衆の面前で燃やす事は避けたほうが無難です。
国旗をたたむ方法はいろいろですが、その一例をご紹介しますと、右の図のように、
- まず、横方向に細長く四つにたたみます。折り目は、横から見てW型になるようにします。
- その後、旗の先端方向から旗竿側に向かって数回 蛇腹式にたたみます。
- 最後に、旗竿側の部分で全体を包み、
- 取付け紐を軽く巻き付けて全体をまとめます。
通常、雨天の場合は国旗を屋外に掲揚しません。
屋内で国旗を掲げる場合、スペースの関係で国旗を縦長に配置せざるを得ないときには、旗竿側を上にして掲揚します。
国旗の左上部にカントン(星条旗の星の部分のように四角く区切られた部分)や、紋章などが配置されているものは、 ほとんどの場合、縦長に配置するときにもカントンや紋章の部分が左上になる向きで取り付けます。
(※注意)国ごとにルールがあり、必ずしもすべてではありません。
カントン部分のない国旗の中にも、縦位置に掲揚する際の方向が決められている国があります。
さらに、リヒテンシュタイン・サウジアラビア・北朝鮮のように、縦長用のレイアウトが別に存在する国もあります。
なお、オランダ・ブラジル・パキスタン・サウジアラビアの4ヶ国は縦長に掲揚すること自体を禁じているなど、国によって様々なルールがありますので、詳しくは各国の大使館などにお問い合わせください。
国旗を三脚などで設置する場合、地面に引きずってはいけません。地面に触れない高さ以上に、高く掲げてください。
通常、日の丸の竿頭には「竿球(かんきゅう)」や「国旗玉(こっきだま)」と呼ばれる金色の玉を用います。外国旗の竿頭には球または矢じりなど、その国指定のものを用います。(例:アメリカン・イーグル)
但し、競技場に数カ国の旗を掲げる場合などは、球または偏平球で統一します。
旗竿に国旗を掲げる場合、旗竿の最上部に接して掲揚しなければなりません。
弔意を表わす場合に半旗を掲げる事があります。その場合は、一旦旗竿の最上部まで掲揚した後、半旗の位置まで下げて掲げます。ただし、サウジアラビアは国旗を半旗に掲げてはならないとされています。
半旗として下げる幅については特に規定がありませんが、半旗である事がはっきり判るようにすべきです。
半旗として掲げているのか、最上部まで上げたつもりなのに、ロープが緩んで少し下がってしまったのかを判断できないような、中途半端な掲揚の仕方は好ましくありません。
一般的な目安として、『国旗の短辺~長辺程度下げるのが良い』とか、『旗竿の最上部から三分の一程度下げたぐらいが良い』などと言われています。
半旗を降納する時は、一旦旗竿の最上部まで上げた後に降納します。
旗竿などの構造上 半旗を掲げる事ができない場合は、竿頭を黒布で覆う事により弔意を表わします。
日本ではさらに、明治天皇の葬儀のときから幾度か使われている、「弔旗」という掲げ方もあります。
これは、大正元年七月の閣令「大喪中ノ國旗掲揚方ノ件」で定められたもので、内閣がかかわる葬儀の際に用いられます。
弔旗の掲揚方法は、国旗玉を黒布で覆った上、日の丸の上部に日の丸の長辺と同じ程度の長さの黒布を付けて、右の図のように掲げます。
自国の国旗を掲げる事なく外国旗だけを掲げてはいけません。
自国の国旗のみを掲げる場合、建物の左右どちらにも掲揚できる構造のときは、内側から見て右側(外側から見て左側)に掲げるようにします。
2カ国の国旗を掲げる場合、建物の内側から見て右側(外側から見て左側)が上位の位置とされています。
諸外国の中には、あくまでも自国旗優先主義を貫く国もありますが、日本では外国の国旗に敬意を表わして、外国旗を上位に配置するのが一般的です。
2カ国の国旗を掲げる場合、2本の旗竿を交差させて掲揚するときは、上位の 旗竿(建物の内側から見て、旗が右側、竿の根元が左側)が建物の外側になるように配置します。
3カ国以上の国旗を掲げる場合、建物の内側から見て右側(外側から見て左側)から、国連方式表記のアルファベット順に配列します。
3カ国以上の国旗を掲げる場合、たまたま国の数が奇数の時は、自国の国旗を中心にして 外国旗を国連方式表記のアルファベット順に左右交互に配列する方法もあります。
複数の国旗を掲揚する場合、国旗の大きさは同一にします。
但し、国旗の縦横比が 国連方式(縦2:横3)と異なる場合は、比率を変えても良いかどうか先方に照会し、不可能な場合は一辺(通常は縦)の長さまたは面積をあわせるようにします。
複数の国旗を掲揚する場合、旗竿の(長さではなく)高さを同一にします。
複数の国旗を掲揚する場合、建物の内側から見て右側(外側から見て左側)の旗を最初に掲揚します。
複数の国旗を降納する場合、建物の内側から見て右側(外側から見て左側)の旗を最後に降納します。
1本の旗竿に複数の国旗を上下に併揚することは、下段に掲げられた国を属国扱いとする意味をもつので、たいへん重大なマナー違反です。
国際会議などで卓上に国旗を飾る場合も、基本的なマナーは屋外の場合と同様です。
この場合、上記の説明中の建物側を自国側の座席、建物の外側を外国側の座席と読み替えて配置します。
原則として国旗と団体旗は併揚しないことになっています。 やむを得ず両方を掲げる場合は、団体旗よりも大きな国旗を高い位置に掲揚しなければなりません。
ただし、国際連合旗だけは例外で、1947年10月に決定された国際連合旗規定によって『他のいかなる旗より下位に置いてはならず、他の旗と併揚する場合には、同一の高さ・大きさでなければならない。』と定められています。